自分の前には学校の宿題、仕事などが積み上がっているのに「明日やればいいさ」と先延ばしにしてしまうことはありませんか。
そうやって先延ばしをしていった結果、最後に痛い目にあった経験があると思います。
先延ばしをしてしまうのは、実は私たちの脳の仕組みに原因があるのです。
役割や働きの違う脳の部分がお互いに影響し合うので、とりかかりにくくしてしまうのです。
今回は「先延ばしする自分は克服できる!人生を前進させる習慣」という題で、私たちの脳の働きや先延ばしを克服する習慣づけの方法をご紹介していきたいと思います。
私たちの脳の仕組み
私たちの脳はとても複雑です。
それほど大きくない頭の中にはさまざまな働きをする部分があります。
物事を取り組もうとする脳の部分と先延ばしをする脳の部分について説明していきますね。
大脳前頭前野
脳の中で最も高機能な働きをする場所です。
人の理性とか論理的に物事をとらえる働きを持っている、私たちの脳のとても重要な部分です。
物事を考えて指示を出す部分です。
先延ばしをしたくなると「早くやらないと問題が起きるぞ」と注意を出すところです。
大脳辺縁系
脳の中の原始的な部分です。
本能から行動をしたり、怒りや喜び、悲しみなどの感情が生まれる部分です。
快楽の中枢です。
先延ばしをしたくなる「ラクしたい」「欲望を満たしたい」などの気持ちが生まれるところです。
扁桃体(へんとうたい)
脳の奥の方にある、こちらも古い脳の部分です
恐れや不安、危険の可能性のあるときに闘ったり、逃げたりする気持ちが生まれます。
先延ばしをしたくなる「できなかったらどうしよう」「どこから手を付けたらいいのだろう」と不安になる気持ちが生まれるところです。
なぜ先延ばしをしてしまうの?
先延ばしとは簡単に言うと、大脳の前頭前野が、大脳辺縁系の「欲望」や扁桃体の「不安」に負けてしまった状態です。
大脳の前頭前野が論理的な思考で前進しようとしても、大脳辺縁系が「ラクしたい」と思ったり、扁桃体が「とりかかるのが不安だから逃げよう」と思ったりする力が強すぎるので、大脳の前頭前野がその気持ちに引きずれられてしまうのです。
大脳辺縁系とか扁桃体が出す誘惑はとても強いので、ひとたび暴れだしてしまうと収拾がつかなくなります。
こんな強い誘惑を持つ脳の働きに負けないで、先延ばしを克服するにはどのようにすればいいでしょうか。
先延ばしを克服するには
はい。やはり大脳の前頭前野に頑張ってもらうしかありません。
ただし、前頭前野を上手に使うにはちょっとしたコツが必要です。
先延ばしを克服する習慣1.メタ認知する
メタ認知とは自分が認識していることを認識するという意味です。
ちょっと分かりにくいですよね。
自分を客観視するということなんです。
ここは大脳の前頭前野が一番得意としている分野です。
大脳辺縁系や扁桃体を黙らせるのには、大脳の前頭前野が自由に働けるように自分で絶対やると決めてしまうことです。
このとき自分を外側から見ているような感じがしませんか。
つまりこのとき自分を客観的に見れているのです。
メタ認知を高める方法
自分を客観的に見るのを鍛える方法があります。
机の上に鏡を置いておきましょう。
そして何かあったときは自分自身を見つめてみましょう。
さらに自分に話しかけてみましょう。
「どうだい。上手く行ってるよね」
「いいペースで進んでいるね。もう少しだ頑張れ」
などと自分を励ます肯定的な言葉を話しかけてください。
普段の自分をいつも見ることは少ないと思います。
鏡を見るのは、自分を客観的に見れるようになるのに良い方法なのです。
先延ばししたくなったら、鏡で自分を見てみましょう。
先延ばしを克服する習慣2.ゴールを設定する
作業全体のゴールを決めましょう。
ゴールが決まったら、具体的に作業の内容を細かく分解していきます。
どのようにするのか細かく分解することで、1つの作業が楽になります。
つまり不安が減ります。
扁桃体で不安を感じると逃げたい気持ちになりますが、不安がありませんから扁桃体は静かになります。
さらに、ゴールしたらご褒美が出る設定にするのもいい方法です。
欲望を司る大脳辺縁系が、欲望のために一緒に働いてくれます。
先延ばししたい気持ちは起きません。
脳の働きを考えると、ゴールを設定するのは効果があります。
先延ばしを克服する習慣3.時間を設定する
作業全体をいつまでに終わらせるかを決めます。
時間設定がないまま始めてしまうと、欲望を司る大脳辺縁系が再び騒ぎ出します。
だらけてしまい、やる気がなくなってきます。
大脳辺縁系がラクしたいと考え出すからです。
この時間まで終わらせると大脳の前頭前野から司令を出して、作業の進行を遅らせる脳の動きを抑えましょう。
また時間設定についてですが、作業を休みなくずっとしていると前頭前野自体が疲れてきて、ラクしたい脳の部分をコントロールする力が弱くなってきます。
一定時間作業をしたら少し休憩を入れて、脳の働きをときどき休めてあげましょう。
学校でも授業と授業の合間には休憩時間がありましたね。
この考え方を取り入れてみましょう。
ただし休憩時間を長くしすぎないでください。
作業自体のやる気がなくなってしまいます。
先延ばしを克服する習慣4.作業に必要なものを全部揃える
作業に必要なものを机の上に全部用意しましょう。
ゴールを設定した時に、細かく分けた1つずつの作業内容を決めました。
同時に何が必要なのかを考えて全て用意しておきます。
作業の途中で作業に不足物があると、作業が止まると扁桃体が「不安だ」と騒ぎ出します。
作業が止まって不足物を用意しているうちに、大脳辺縁系がラクをする方向に動き出して、やる気がなくなってきます。
面倒だと思うかもしれませんが、作業を始める前に必要なものを準備しましょう。
作業を中断しないで済むし、作業のやる気を失わせる、大脳辺縁系や扁桃体が騒がないで済みます。
先延ばしを克服する習慣5.作業する順番を決める
ゲームをするように、ゴールにたどり着くまでの作業の順番を考えます。
順番ができたなら、頭の中で先にまるで作業しているかのようにイメージします。
- 目を閉じます
- 自分が順番どおり作業している様子をイメージします
このようにイメージしてから作業を始めましょう。
すると頭の中で一度作業を全部しているので、実際の作業がやりやすくなります。
スポーツ選手がよく試合前にイメージトレーニングをするのをご存知ですよね。
自分のプレーの一番良い状態をイメージして、試合中の自分のプレーを事前に体験しているのです。
脳にはすごい力があるんです。その力を利用しましょう。
先延ばしを克服する習慣6.やめたくなる誘惑を周りから取り除く
作業に取り組んでいるときに、他のことに気が回らないように、誘惑になるものを近くに置かないようにしましょう。
机の上や机の周囲に作業と関係のないものがあると、ついそちらに気を取られてしまいます。
大脳の前頭前野は論理的に働く高機能コンピューターですが、能力が高すぎるために、気を取られるような何か新しい情報が入ってくると、そちらの方に意識が向いてしまうのです。
つまり、別の情報を処理しはじめるのですね。
人間の脳は同時に2つのことを処理できません。
作業をしていたのを一度止めて、新しい情報処理を始めるのです。
すぐに作業に戻れるならいいのですが、新しい情報の方に興味を持ってしまって、作業を忘れてしまうことがあります。
たとえば作業中にLINEなどSNSのメッセージが入ってきたとか、壁に貼ってあったメモを見て「あっ、これをしないといけなかった!」などと考えだすと、いつの間にか別の方向に脳の処理が移ってしまうのです。
机の周りには、作業に必要のないものは置かないようにしましょう。
先延ばしを克服する習慣7.できないと思ってもあきらめない
作業中何かにつまずいたとき、できないと思ってあきらめないことです。
できないとか不安だと思うと、扁桃体が騒ぎ出します。
作業から逃げ出したくなります。
ちょっと休んでからにしようと考えたくなります。
こんなとき脳の出す甘い誘惑に負けないでください。
この場合の脳の誘惑とは、大脳辺縁系とか扁桃体が出す誘惑です。
このときこそ、大脳の前頭前野に頑張ってもらいましょう。
そう、メタ認知です。
自分を客観的に見ることが必要になってきます。
「大丈夫。ちゃんとできている」
「いいところまで来ているんだ、もう少しだ」
「まだまだこれからだ」
このように自分自身を励ましましょう。
大脳辺縁系とか扁桃体が出す誘惑はとても強いのです。
これは人の持つ本能の働きです。
古い時代まだ人類と呼ばれていなかったころは、危険だとか不安だという感覚のときはすぐに逃げないと危なかったのです。
いまもその本能が残っていて、実際には危険ではないのに本能が危険だと感じてしまうので、逃げ出したくなります。
まとめ・先延ばしする自分を克服する習慣
いかがでしたでしょうか。
先延ばししたくなる気持ちは、自分の脳の働きから生まれています。
その働きは人類が古い時代に備えた本能にありました。
危険なときは逃げ出したい、自分の欲望の通りに動きたいという本能です。
でもその欲望通りにしていたら、いつまでも先延ばしする自分を変えることができません。
きちんと計画を立てること、考えること、やるべきことをなるべく早く終わらせることを習慣にすれば、私たちの人生はより明るく豊かになっていくのではないでしょうか。
今回は「先延ばしする自分を克服する習慣」という題でいろいろとご紹介してきました。
最後までご覧いただきましてありがとうございました。
心理学は毎日を生きる知恵・心の波を穏やかに
先延ばしグセは、これまでの私の最高の特技?でした。
ぎりぎりにならないとやる気がでないのです。
実際いまも気をつけないと先延ばしをしてしまいます。
まだ今日ご紹介した習慣が身についていないようですね。
これまで私は追い込まれるほうが力が湧いてくると、勝手に思い込んでいました。
でも毎回これを繰り返していると精神的に参ってきます。
ストレスがいっぱいでやる気がなくなります。
逃げ出したくなります。
この脳の仕組みを知ったことで「私は自分自身をコントロールできるんだ」と思えるようになりました。
先延ばしをしないでやるべきことを早く終わらせたら、人生をとっても前進させられると思うのです。
誰でもできる簡単な方法ですのでやってみてくださいね。
ところで私が先延ばしをしなくなる方法を考えてくださったのは、私のメンターです。
実は今書いているこのブログが私の先延ばしの特技を消すための習慣です!
これがなかったら、多分今も先延ばし人生だったでしょうね。