ネガティブな感情を持つことは誰でもあることです。
でもこの感情をずっと引きずっていると行動もネガティブになり、そこからまたネガティブな感情を引き起こし、それが連続して起こっていくという、スパイラル状態にどんどん落ち入ってしまいます。
ネガティブな感情を持つなんて、こんな自分はダメだと思っている方も多いのではないでしょうか?
そんなネガティブな感情と向き合うのは辛いですね。
このネガティブな感情を乗り越える方法があります。
まず、そこから始めてみてはどうでしょうか?
今回は、NLPという言語学と心理学を効果的に組み合わせた実践手法を使って、「ネガティブな感情を乗り越える方法」について、私が学んだことを書いていきます。
ネガティブな感情を乗り越える?でもどうしたらよい?
ネガティブな感情を生み出すもとは「プログラム」です。私たちの感情は脳の中にあるプログラムから生まれます
私たちの脳の中には「人間の中にも特定の入力に対して正確に起動するプログラム」があるとNLPでは定義しています。
プログラムの正体は、ほとんどの場合、遠い昔にできた脳内の記憶です。
もともと人間は、生まれた時にはまっさらで何もない状態で生まれてきます。
生まれた後に「体験」と「言葉」によって様々な「プログラム」を身につけるようになるのです。
このプログラムには価値観とか価値基準といったものも含まれます。
価値観や価値基準も同じように、生まれた後に「体験」と「言葉」によって身に付けるものだからです。
この身につけた「プログラム」が、その後の私たちの体験に影響を及ぼします。
プログラムから生まれる身体感覚的反応
「恐怖感」「高揚感」などという心の中に、つまり内面的に感じるものと、「興奮による胸の高まり「冷や汗」などといった具体的に身体が反応するものの2種類があります。
そしてこれらの2種類を合わせて、「身体感覚的反応」と呼んでいます。
ネガティブな感情。でも出来事の本質は「無色透明」
人間は育つ環境が違うので違う体験をして育ちます。
つまり人によってプログラムが違うことになり、同じく人によって出来事に対して違う反応をする場合があります。
また、価値観などの「プログラム」も同様で、人によって様々です。
しかし、出来事自体は良いも悪いもありません。「無色透明」なのです。
私たちは「プログラム」というフィルターを通して出来事を見ています。
「幸せ」も「辛い状態」も、出来事そのものが作り出すのではなく、私たちが使ってるフィルターを通して作り出されていて、それがネガティブな感情を引き起こしているのです。
プログラムや価値観というものは脳の中にあるだけのもので、現実は実態のないイメージでしかありません。
また、「脳は現実とイメージの区別がつかない」という特徴があります。現実とイメージを錯覚してしまうのです。
そこで、NLPでは、「実際に起きた出来事は変わらないが、感じるイメージを変えれば見方が変わる」という考えをもとにして、次のような実践的方法を教えています。
ネガティブな感情を乗り越える方法
ネガティブな感情を乗り越える方法・その1
ネガティブな感情を解消する方法の1つ目として「リフレーム」があります。
リフレームとは?
まず、「フレーム」のことを「物事の枠組み」と言います。
これは「無色透明の出来事」に特定のイメージ(=意味)を感じることです。
NLPでは「フレーム」を変えることを「リフレーム」と言います。
ネガティブな感情を解消するには、「無色透明の出来事」を「悪い」「苦しい」「憂鬱」といった特定のイメージで見ない、つまり意味づけをしなければいいのですね。
ネガティブなイメージを起こすような意味づけをしているのですから、出来事に対しての意味づけや考え方を変えてしまう=解釈を変えてしまえばよいのです。
例えば、仕事でミスをした場合、失敗は悪いことで、そんなことをする自分はダメな人間だという考え方があると、ネガティブな感情を引き起こします。
しかし、逆に、失敗は良いことで次の仕事につながる「学び」や「成長へのチャンス」という考え方に変えてしまうのです。
この「リフレーム」という方法は、どんな出来事でも『解釈を変える』ということで可能になります。
ポジティブな人は、どんな状況でも出来事を肯定的とらえていて、いつでも明るくいられますが、ネガティブな人はどんなに恵まれた環境にいても、足りない部分をみて不平や不満を感じていると言われます。
どんな出来事でも、解釈次第で感じ方が変わります。
繰り返しますが、出来事はいつでも「無色透明」であって、「被せたイメージ(フレーム)」がネガティブな感情を作り出しているのです。
ネガティブな感情を乗り越える方法・その2
ネガティブな感情を乗り越えるのに「リフレーム」は良い方法なのですが、万能ではありません。
とても辛い場面においては「リフレーム」することが難しいことが多いです。
それは、辛い場面の状況の中にどっぷりと浸かってしまうからです。
この場合、外側から客観的に自分自身を観察する状況を自分の脳の中で意識しすることが大事です。
「アソシエイト」と「ディソシエイト」
NLPでは、状況の中にどっぷりと浸かっていることを「アソシエイト(実体験)」、外側から客観的に自分自身を観察している状況のことを「ディソシエイト(分離体験)」と言います。
ネガティブな感情を乗り越えられない?辛い場面では「アソシエイト」に浸りきってしまう
ネガティブな感情を乗り越えようと思っても、私たちはもともと、とても辛い場面に入ってしまうと、極めてネガティブな感情、つまりアソシエイト状態に入ってしまいます。
この時、私たちは完全に感情に振り回されているので、自分をコントロールする余裕などなく、視野が狭くなっているので肯定的な点を見つけにくくなります。つまり「リフレーム(枠組みを変える)」ことができません。
ネガティブな感情を乗り越える。辛い場面では「ディソシエイト」を使う
ネガティブな感情を乗り越えようとする場合、辛い場面の状況の中にどっぷりと浸かってしまう「アソシエイト」が強いと思うときには、「リフレーム」を使うことを諦めましょう。
そして、外側から客観的に自分自身を観察する状況「ディソシエイト」することを強く思ってください。
「ディソシエイト」状態になれば、ネガティブな感情に振り回されず、自己コントロールできる余裕が生まれます。
状況から離れて見ているので、状況の全貌が見えてきて、結果として、肯定的な面を見つけやすくなり、その状態なら「リフレーム」が可能になります。
「アソシエイト」「ディソシエイト」はNLPを学ぶ上で重要なスキルです。
武道の基本の型(かた)と同じように基礎ですので、繰り返しトレーニングしてできるようにしていきます。
ネガティブな感情を乗り越えるトレーニング。アソシエイト・ディソシエイトのトレーニング方法
ネガティブな感情を乗り越えるためのトレーニングは「体感する」こと
「頭で知る」と「体感」の違い
理解には、「頭で知るレベル」、「体験して実感(=体感)しているレベル」の2種類があります。
頭で知っているレベルでは、現実に非常に辛い場面に遭遇した時に、忘れてしまって使えないことがあります。
そのためには、「体感」で身体で覚えること、つまり「無意識にできる」ように、私たちは自分自身をトレーニングする必要があります。
私たちは、生まれてから様々な「体験」を基にして、脳の中に反応する「プログラム」を作っていましたね。
つまり、私たちが「プログラム」を作り上げるプロセスを利用して、「体感」で覚えていきます。
ネガティブな感情を乗り越えるための「アソシエイト・ディソシエイトのトレーニング方法」
ネガティブな感情を乗り越えるための、アソシエイト・ディソシエイトのトレーニング方法を紹介します。
1.目の前に「映画のスクリーン」をイメージする
自分の目の前に「映画のスクリーン」をイメージします。
2.「とても嬉しかった体験シーン」を一つだけ特定する
かつて自分がとても嬉しかった体験のシーンを一つだけ特定してください。
3.「とても嬉しかった体験シーン」をビデオカメラで撮影してもらったと仮定する
「とても嬉しかった体験シーン」を自分以外の他の誰かがビデオカメラで録画してもらったと仮定します。つまりこの録画したシーンには自分自身が写っています。
4.ビデオカメラで写してもらった映像を目の前にある「映画のスクリーン」で見る
ビデオカメラで写してもらった映像を、自分の目の前にある「映画のスクリーン」で見ます。自分自身がとても喜んでいる映像を観客席から眺めるという感覚です。
5.まるで他人事のように、しばらく客観的に見る
まるで他人事のように、しばらく客観的に映像を見続けてください。
6.その映画のスクリーンの中にいる自分に意識を一致させる
しばらく5の状態を体験したら、次に、その映画のスクリーンにいる自分に意識を一致させます。自分の意識を、観客席から、映画のスクリーンの中の自分に移動させます。
7.映画のスクリーンの中の自分になりきる
スクリーンの中で喜んでいる自分になりきります。
その当時のことを思い出し、「見える風景」「聞こえる音」「その時感じていた感覚、感情」をその場にいたと感じながら、見て、聞いて、実感します。
タイムマシンに乗って過去に戻ったかのように、過去の自分自身が感じたそのままを、五感をフルに使って、喜びを味わいます。
8.しばらく7.を体験したら、意識を現在に戻します
1から5がディソシエイト、6から8がアソシエイトのプロセスです。
まとめ・ネガティブな感情を乗り越えるには、まず、ここから始めよう
いかがでしたでしょうか。
ネガティブな感情を乗り越えるのを始める前に、私たちは、何かの体験をするときに、過去におきた記憶を元にしてできた特定のプログラムに反応して感じていることを理解しましょう。
私たちが感じることは、「出来事そのもの」とは関係のないイメージに過ぎず、「脳は現実とイメージの区別がつかない」という特徴があるので、現実とイメージとを錯覚しています。
ネガティブな感情が生まれるのは、このネガティブに反応する多くのプログラムが頭の中で「イメージ」を作って反応しているためで、その「イメージ」を変えることができれば、あらゆる苦しみは変化させることができるということです。
今回は、ネガティブな感情を乗り越える方法として、「リフレーム」、「アソシエイト」と「ディソシエイト」を紹介しました。
人間は常に実態のないイメージに苦しんでいます。
実態のないイメージに過ぎないのですから、あらゆる苦しみは変化させることができるということを意味しています。
私たちは、脳の仕組みを逆に利用して、ネガティブな感情を乗り越えることができるのです。