矛盾している2つの命令を出しておいて、部下ができないとキレて怒鳴る上司。
ダブルバインドとは二重の矛盾した命令を出して相手に対して精神的にストレスをかけることをいいます。
ダブルバインドをする上司は自分の地位を利用て部下の自尊心を傷つけ、相手が間違っていないのに間違った気にさせます。
その上で部下が相手が逆らわないよう繰り返し心理的に追いつめていきます。
ダブルバインド上司はパワーハラスメントを引き起こしているのです。
今回はダブルバインド上司が部下を追い詰めてパワハラをおこす実態との対処方法についてご紹介しています。
ダブルバインド上司のパワハラ実態
ダブルバインド上司は2つの矛盾した命令や指示を出すことが多いのです。
この命令や指示があいまいなので受け取った部下としては判断に苦しみます。
さらに上司のそのときの機嫌次第で命令や指示の判断基準がコロコロと変わります。
たとえばこんな例があります。
・「業務でわからなかったら相談するように」と指示を出しておいて、部下が相談すると「そんなつまらないことで相談してくるな」と言う。
・「自分で決断できないやつはダメだ」と言っておきながら「なぜ勝手に自分で判断したんだ」と言う。
・「業務の報告はきちんとしろ」と言っておきながら「この程度のことまでいちいち報告するな」と言う。
・「なぜ失敗したんだ、理由は何だ」の上司の発言に、理由を説明すると「言い訳するんじゃない」と言う。
・「お前やる気はあるのか」の上司の発言に「ある」と答えると「それならなぜできない」と怒鳴る。
・「自分でよく考えろ」と言っておきながら、間違えると「何で人に聞かないでやったんだ」と怒鳴る。
このようにダブルバインド上司の命令指示は矛盾だらけです。
部下はどのようにしたらいいか分からなくなります。
ダブルバインド上司の下にいると、部下は矛盾した命令指示の無限ループにはまります。
ダブルバインド命令→部下できない→部下を非難→新たなダブルバインド命令→部下できない→さらに部下を非難→・・・エンドレス
ダブルバインド上司は「命令に従わない部下が悪い」と一方的に非難します。
あげくに、部下は間違っていないのに「おまえが悪いんだ」と言葉で誘導するので間違った気にさせられます。
部下はどんどん心理的に操られていき、自分自身の正常な判断能力まで失ってしまう=自分が何をしているのか分からなくなる、まで追い詰められます。
うつ病や統合失調症を起こし、最終的には退職せざるを得なくなります。
ダブルバインド上司の精神状態
ダブルバインド上司の目的は、部下の逃げ道をどんどん細くし、孤立させ、支配することです。
ダブルバインド上司は強い立場を利用して弱そうな部下を狙います。
部下が矛盾点を指摘すると「お前のことを思っているのに何を言っているんだ」「指導しているのに刃向かうなと」一方的に反論を禁じます。
部下は納得できないと感じていても、上司の強い言葉に遮られるので自分の意見が話せなくなります。
さらに上司自身が心に抱えるストレスの「はけ口」になっているのです。
実のところ上司の心の中はいつも不安だらけでストレスを抱え込んでいます。
ストレスのはけ口にはちょうどいい対象なのです。
ですから上司の攻撃は止むことがなく、いつまでも苦しめられることになってしまいます。
ダブルバインド上司のいる職場環境
ダブルバインド上司のいる職場環境の雰囲気は精神衛生上けっして良くありません。
- 上司が一方的に命令指示を出す。部下は自分の意見を言えず、何の相談もできない
- 会議中は上司が完全主導で話を独占、部下はいつも聞かされ役
- 部下が上司に相談すると、必ず最後は説教になる
- 上司の話に部下が反論すると、職場の雰囲気が一瞬で凍りつく
- 部下の発言に対して上司は発言内容の欠点だけをけなす
- 職場の飲み会は上司だけが上機嫌で、部下はイヤイヤ付き合わされる
こんな職場環境にいたら危険です。
ダブルバインド上司からのパワハラ対策法
ダブルバインド上司の対策法1.職場の様子を観察する
自分がパワハラを受けてしまったら、落ち着いて周りをよく観察しましょう。
ダブルバインド上司をうまくかわしている人は、どんな行動パターンをとっているかを観察して、その人の真似をしてみましょう。
次にダブルバインド上司は、いつ機嫌がよくて、いつ機嫌が悪いのか、機嫌の良し悪しはどんなことで分かるか、など上司の様子を毎日観察しましょう。
ダブルバインド上司の対策法2.非難されたらひたすら沈黙
ダブルバインド上司の話にいちいち反応しません。
言い訳などして反応すれば、火に油を注ぐことになってしまい、上司からさらに激しい非難攻撃があびせられます。
ひたすら沈黙して、表面上は話を聞いていると見せながら、上司が喋り疲れるのを待ちましょう。
人間は怒るときエネルギーをかなり使います。
いくらストレスのはけ口にしているといっても、いつまでも怒り続けることはできません。
上司の話をまともに聞かないでください。
深呼吸しながら、上司の様子を冷静に見つめてみましょう。
じっくりと観察すると上司の怒っている様子が間抜けに見えてきます。
ここで気持ちが負けてしまうと相手の思うツボですよ。
ダブルバインド上司の対策法3.非難されたら必要以上に怖がる
すぐに感情的になるダブルバインド上司は、弱そうな部下が慌てふためく様子を見て満足するという悪癖があります。
そこであえて反論せず、この際ですから目一杯慌てふためいて、必要以上に怖がってみせましょう。
そして、とどめの一言で「社長に直訴します」とビクビクしながら伝えます。(または上司が絶対歯向かえない人を選びます)
そうすると相手は思ってもいなかった行動に気勢をそがれるので、あなたと上司の形勢が逆転します。
とことん怖がった後に不意の一言を突きつけて、相手を驚かせ動揺させてやりましょう。
ダブルバインド上司の対策法4.違う部署を希望する
会社内の人事担当部署に頼み込んで、部署を変えてもらえるかどうかお願いしてみましょう。
その場合はハッキリ自分のいま置かれている状況、上司からパワハラを受けていることを説明してください。
人事担当部署でどうにもならなそうなときは、ダブルバインド上司の上司に当たる人に相談する方法もあります。
ダブルバインド上司は、自分より上の立場の人には強く主張できません。
その弱点を逆手にとってみましょう。
ダブルバインド上司の対策法5・会社を辞める
どうやっても自分の立場を守れないと思ったら、退職するしかありません。
ダブルバインド上司がいる会社自体が、やる気を無くしてどんどん辞めていく人が多くありませんか。
もともとダブルバインド上司自体がこの会社で同じようなダブルバインドの環境で育ってきたのです。
上司はこれが当たり前だと思っています。おそらく変わりそうもないのです。
企業の風土が悪いのですから、このまま残っていてもろくなことはありません。
部下をストレスのはけ口にしている職場にいると、いつまでたっても浮かばれませんよ。
まとめ・ダブルバインド上司からパワハラ受けたら|実態と対処法
いかがでしたでしょうか。
ダブルバインドとは二重の矛盾した命令を出して相手に対して精神的にストレスをかけることをいいます。
ダブルバインドをする上司は自分の地位を利用して、部下を心理的に追いつめていきます。
パワーハラスメントやモラルハラスメントの原因になっていました。
ダブルバインド上司の被害にあったなら、最終的に転職を選択すべきだと思います。
今回はダブルバインド上司が部下を追い詰めてパワハラをおこす実態との対処方法についてご紹介しました。
最後までご覧いただきありがとうございました。
心理学は毎日を生きる知恵・心の波を穏やかに
私も実際に遭遇したダブルバインド上司がいます。この上司は不動産会社の社長でした。強烈な個性の持ち主でした。
20人ぐらいの不動産会社でしたが、すべてにおいて変な会社でした。
- 会社に届く郵便物は社長自身が中身を全部確認して部署に回す
- その日の気分で怒鳴り散らす
- 会社で一緒に働く社長夫人(副社長)と毎日のように口喧嘩
- 売上を上げろと言っているくせに社員を自由に働かせない
- 話の内容がいつもコロコロ変わる
- 理想論ばかりで現実はすべて社員任せ
- 会議はいつも社長のお説教
- うちはエコロジーだからと夏にエアコンをつけない(電気代がもったいないらしい)
- 電話代がかかり過ぎだといって怒鳴る
今思い出すだけでも嫌な気分になります。ブラックな会社でした。
入社する人が毎年大勢いるのですが、次々と辞めていきます。私もこの会社を7ヶ月で辞めました。
ただしこんな会社でもしぶとく残っているベテランの人たちがいます。
ダブルバインド社長の特徴をつかんで、攻撃をうまく避けながら勤めているようです。
生き残った人はダブルバインドに耐性があるというか、上手に受け流していました。
ああ、また始まったわ・・・みたいな感じですね。
私はそれができませんでした。私にはそんな器用なことができませんでした。
社長にズケズケとあることないこと言われると、頭がカーッとしてきて怒りで足がガクガクしてきます。
口ごたえなんてしたら大変です。延々とお説教です。
それも口汚い言葉が出てきます。
人を侮辱する言葉です。人格を否定する言葉のオンパレードです。
私のような人間は社長の格好の攻撃対象だったですね。
もうだめだー、と思ってきた頃から首が痛みで回らなくなりました。
ズキズキして夜も眠れません。
整形外科にいきましたが骨にはオカシイところがないと言われ、整骨院でマッサージを受けながらなんとか会社に出勤していました。
でも首は痛くて、精神的に参っていて本当にダメだ、こんな会社いてやるかと思ったんですね。
そこで私の実行した対策。
整骨院で交通事故をした時に首に巻くコルセットを購入して会社に出勤したのです。
もう辞めてやると思っていたので、わざとらしく痛そうにしました。
さらに1週間後「仕事が続けられないので辞めます」と社長に辞表を叩きつけたのです。
社長は最初「首が治るまで2ヶ月ぐらい休職しろ」と言います。
私は「会社の仕事は無理です。私はもうできません。辞めさせてください」
こう言って絶対引き下がりませんでした。
さらに社長は何度も辞めるなと言いますが「辞めます」とだけ答えてそれ以上話しませんでした。
こんなときは何があっても絶対にひるまないことです。
そこでようやく社長は諦めたのでしょう。
「そうかわかった。辞表は受理します」
社長は辞表を受け取りました。
あの会社にいた7ヶ月間の時間は本当にもったいなかったですね。
仕事を選ぶときはよく会社の内情をよく調べたほうがいいです。
私の勤めたところは、個人経営の会社で社長がワンマンだったのでヒドかったのでしょう。
ワンマンでも人を批判・非難・攻撃ばかりしていては人は残っていきませんね。
入社してから、社員や同業の不動産会社の人から聞いた話では、相当数の人が辞めていたようです。
「実は私も以前はあそこの会社にいてね、あの会社の卒業生だよ」なんて聞かされて、入社して失敗したなあと考えさせられたものです。
おっと、あとがきのつもりがずいぶん長々と書いてしまいましたね。
「実録!いまだにいる昭和のパワハラおやじ!」でした。