有名人の推薦文に惹かれて本を買って読んだけどつまらなかった。本当は値段の安いテレビを探しにお店に行ったのに店員に薦められるまま値段の高いのを買ってしまった。
世間の評判と現実は違うなあと感じたり、最初考えていたことと違うことをしてしまったり、なぜこのようなことをしてしまうのかなと思うのはよくあることですね。
「認知バイアス」という言葉を聞いたことがありませんか。
私たちは気が付かないうちに、何かに動かされて行動しているようなのです。
そこで、今回は「実は思い込みだった!身近な認知バイアスの例」と題して、私たちの身近にあるのに気がついていない実例をいろいろとまとめてみました。
日常の生活でお金をムダ使いしたくない方、実例を知って自分の行動を改めたいと思っている方に、少しでもお役に立てたら幸いです。
認知バイアスとは?
私たちは毎日たくさんの物事を見たり聞いたりするのですが、自分の中にある思い込みやイメージに引っ張られて、判断が偏ったり間違ったりすることがあります。
この自分の中にある思い込みやイメージを「認知バイアス」といいます。
では、認知バイアスにはどんな種類があるのでしょうか。
1.認知バイアスの例・確証バイアス
確証バイアスは、自分に都合の良い情報だけ集めて、他の意見を無視することをいいます。
確証バイアスの例1.
ネットでちょっと欲しいなと思う商品があったとき、商品の感想やレビューを見て、星の評価が多くて評価のレビューが良かったりすると安心して購入する。
確証バイアスの例2.
若者が凶悪犯罪を起こしたというニュースを聞くと「最近の若者は恐ろしい」と思ってしまう。現在の若者は最も犯罪率が低いというデータがあるのに、どのメディアもこぞって取り上げるので思い込んでしまう。
確証バイアスの例3.
特殊な例。振り込め詐欺にダマサれた人が何度もお金を払ってしまうのは、一度払うと「信じたくない」「騙されていないと信じたい」という心理から、騙されていない証拠ばかりを集めて、おかしな点を無視してしまうため。
誰でも自分が見たいと思っていること、信じていることだけを見ようとする傾向があることを、普段から自覚しておいたほうがよさそうですね。
2.認知バイアスの例・ハロー効果
ハロー効果とは、目立つ部分だけ見て、他の部分を見ないことをいいます。
日常でこんな経験をしているかもしれません。
ハロー効果の例1.
新入社員の出身大学が難関大学だとわかると「仕事ができる人かもしれない」と思ったが、実際にやってきた新人はそれほどでもなかった。
ハロー効果の例2.
合コンで外見がぱっとしないなあと思っていた人が、実は年収1000万円以上の人だと分かって、急に合コンでモテモテになってしまった。
ハロー効果の例3.
爽やかなイメージの俳優がCMに起用されている洗剤はよく覚えている。
ハロー効果の例4.
化粧品のイメージキャラクターが一流女優だったり、トップモデルだったりする。
ハロー効果の例5.
本の帯には著名な文化人の推薦文が入っていたので、いい本なんだろうと思って購入する。
良いイメージを見ると、悪いイメージが消えてしまったり、実力以上に評価されてしまうことがありますね。
3.認知バイアスの例・アンカリング効果
アンカリングのアンカーとはイカリのことです。
最初に出された情報を基準にして、それ以降の情報を判断してしまうことをいいます。
アンカリング効果の例1.
家電販売店で店員から値段の高い高機能の掃除機を紹介されて、本当なら価格の安い掃除機を買おうとしていたのに、気が変わって予算額以上の掃除機を買ってしまった。
アンカリング効果の例2.
別の買い物で家電販売店にやってきたが、限定値下げのテレビが並んでいるのを見て、「これはお得だ」と衝動買いをしてしまった。
アンカリング効果の例3.
靴が通常価格より安い価格の表示がしてあったので、それほど欲しくなかったのに靴を買ってしまった。
初めに見た値段が頭のなかにあるので、それよりも安いと思ってしまうと、無駄な出費をしてしまうのですね。
4.認知バイアスの例・バンドワゴン効果
世間で流行っていれば、これはいいものに違いないと高く評価してしまうこと
みんながやっているから安心で、自分もやりたいと思うことですね。
バンドワゴン効果の例1.
行列のできているラーメン屋やパン屋は美味しいに違いないと思って、同じ列に並んでしまう。
バンドワゴン効果の例2.
当選確実とメディアで報じられた候補者が圧倒的な差をつけて選挙に圧勝した。
気づかないうちに、自分が選択したと思っていたことが、実はバンドワゴン効果で動かされていたなんてことがあるかもしれませんね。
5.認知バイアスの例・バーナム効果
誰でも当てはまるような一般的なことを、自分にだけあてはまると錯覚することです。よく占いなどで使われています。
バーナム効果の例1.
あなたには使われずに生かしきれていない才能をかなり持っています、という言葉。
バーナム効果の例2.
外見はしっかりしていますが、内面ではくよくよしたり不安になったりすることがありますね、という言葉。
バーナム効果の例3.
「うわっ、私の年収低すぎ・・・」ネットの広告を見て、「わたしもそうだなぁ」共感した人も多いと思います。これもバーナム効果。
どのようにも取れる内容なので、全部当てはまってると信じ込んでしまうのですね。
6.認知バイアスの例・フレーミング効果
物事の見せ方を変えると、その物事に対する判断が変化すること
認知バイアスの例1.
スーパーの肉売り場では「脂身20%」より「赤み80%」とした方が肉の売上が伸びる。
認知バイアスの例2.
この手術の死亡率は10%というより、手術で10人中9人は助かっていますの方が患者は安心する。
認知バイアスの例3.
△△を12個差し上げますより、△△を1年分差し上げますの方がうれしい。
認知バイアスの例4.
明日に返事しますより、24時間以内に返事しますのほうが信頼がおける。
認知バイアスの例5.
毎月の利用料金が6000円より、料金1日わずか20円のほうが安く思う。
言っている内容は同じなのですが、言い方や表現を変えると受け取り方が変わってしまいますね。
7.認知バイアスの例・コンコルド効果
今まで払ってしまったお金や時間が報われるのではないかと期待して、引き際を間違えることをいいます。かつてコンコルドという航空機がありましたが、開発に莫大な投資をしたのに結局商業的には失敗して大赤字になったことが由来となっています。
コンコルド効果の例1.
見に行った映画がそれほど面白くないのに、払ったお金がもったいないから、最後まで見てしまった。
コンコルド効果の例2.
パチンコやギャンブルで負け続けなのに、「元をとりたい」「今までの負け分を取り返したい」と意地になってやめることができない。
コンコルド効果の例3.
コンプリートガチャが5のうち4つまで揃ったのに、残り1つがどうしても出なくて、何とかゲットしようとする。
コンコルド効果の例4.
トレーニングジムに入会したけど、忙しくてなかなか行くことができない。高い入会金を払っているし、退会するのはもったいないから、月謝料金が安くなる休会制度を使って毎月お金を払い続けている。
すでにお金を払ってしまったから、もったいないからといつまでも続けているとドツボにハマりそうですね。
8.認知バイアスの例・プロスペクト理論
利益を得るときは確実な方を選びやすく、損失のときはリスクを選びやすくなることをいいます。
プロスペクト理論の例1.
よく知らない会社で損をするよりも、「我が社の顧客満足度は95%です」、という「うたい文句」を信用して、確実さで安心を得られるので申し込みをする。
プロスペクト理論の例2.
「お金を払ったのに、体に合わなかったらどうしよう」という不安があっても、「満足頂けない場合は全額返金!」とうたっている商品だと安心して、つい購入してしまう。会社も全額返金までするんだから大丈夫だろうと信頼してしまう。
プロスペクト理論の例3.
「会計時に当たりレシートが出たら、買い物代金100人に1人、お買物代金が全額無料!」につられて、ついつい余計なものなで買って、お金を無駄に使ってしまった。
損をしたくないという気持ちから、ついつい無駄な出費をするかもしれないので、よく考えてから行動したいですね。
9.認知バイアスの例・現在志向バイアス
時間が経ったほうが大きな利益があったり、逆に大きな損失があると知っているのに、目先の利益を選んでしまうことをいいます。
現在志向バイアスの例1.
肺がんになるかもしれないのに、今はタバコをやめられない。
現在志向バイアスの例2.
1年待てば7万円もらえるとわかっているが、目先で今すぐにもらえる5万円の方を選んでしまう。
現在志向バイアスの例3.
夏休みの宿題を最終日まで残してしまう。
10.認知バイアスの例・正常性バイアス
自然災害や事件事故などの被害が予想される状況なのに、自分に不都合な情報は無視したり、自分だけは大丈夫と過小評価することをいいます。
正常性バイアスの例1.
大雨で川があふれそうになっているのに、自分だけは大丈夫だと思って避難しなかったため、取り残された。
正常性バイアスの例2.
大地震があって、沿岸の地域では津波が心配されるのに、いままでも津波がなかったから大丈夫だろうと思って逃げなかったので、津波にのまれた。
正常性バイアスの例3.
高速道路で事故を起こして停車中、車の中なら大丈夫だろうと思って車から出なかったため、後続車に追突されて大怪我をしてしまった。
いざというときに、事態をとっさに判断することができずに茫然としてしまう人がほとんどのようです。こんなときほど落ち着いて行動するように気をつける必要がありますね。
11.認知バイアスの例・リスキーシフト
個人個人であれば犯すはずのないことを、大勢の集団に入ってしまうと、その集団の中で過激な発言があってもそれに同意したり同じ発言をしたりすることをいいます。
リスキーシフトの例1.
赤信号みんなで渡れば怖くない
リスキーシフトの例2.
イジメは悪いことだと分かっているのに、集団になるとイジメてしまう。
リスキーシフトの例3.
ブログやSNSに投稿した内容に批判が始まると、他の人がさらに批判を上乗せしていって炎上し、最後は閉鎖に追い込まれた。
どの場合も、普通だったら絶対にやらないことでも、集団という大きな存在の中に入ってしまうと、他の人の意見に同調されやすくなって間違いを起こすというですね。
12.認知バイアスの例・後知恵バイアス
物事が起きてからそれが予測可能だったと考えてしまうことをいいます。
後知恵バイアスの例1.
事件や事故が起こると、メディアが「なぜあの時こうやらなかったのか」とコメントを出す。
後知恵バイアスの例2.
プロ野球の中で、監督が采配を失敗すると、野球解説者が言いたい放題のことを言う。
後知恵バイアスの例3.
バーゲンセールで買った商品が粗悪品だとわかったときに、どうせ安物だから悪い商品だと思っていたんだと考えるようにした。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
私たちは、認知バイアスという思い込みのせいで物事の判断が偏ったり、間違ってしまうようです。
特に短時間で判断しなければならないときに、認知バイアスが働きやすいということなので、慌てずに心を落ち着けることが大事かもしれません。
今回の身近にある認知バイアスの実例を参考にしていただけましたらうれしいです。
最後までご覧いただきありがとうございました。