「ピーターパン症候群」はアメリカのダン・カイリー博士が、身体は大人でも、精神は子供なのはパーソナリティ障害の一種だと提唱したことが始まりで注目を集め、知られるようになりました。
症候群(シンドローム)という名前から、何か治りそうもない病気だと思うでしょうが、心理学や精神医学の中では正式な用語ではなく、精神疾患としても取り上げられていません。
ここでは、「ピーターパン症候群の特徴」についてご紹介していきますが、先ほども述べました通りカイリー博士の提唱した内容のことであり、このような考え方があるのだとの予備知識を持った上で、ご覧ください。
ピーターパン症候群とは
ピーターパン症候群とは、身体は大人で立派なのにまるで子供のように幼稚でわがまま発言をしたり、行動をしたりする男性のことをいいます。
名前の由来は20世紀初めのイギリス中産階級の重く悩ましい問題を「ピーターパン」という題名でJ.Mバリーが描いた本がもとになっています。
実はディズニーの映画「ピーターパン」とは直接関係がないんです。
ピータパン症候群の特徴
ピーターパン症候群は男性であることがほとんどです。次のような心の内面を持つ特徴があります。
1.感情をうまく表現するのが苦手
そんなに怒る必要がないのにひどく怒鳴ってみたり、笑い方がヒステリックになったりすることがあります。
ある程度年齢が上がると「愛してるよ」と言うわりには何の行動も示してくれず、言うこととやることが一致しなくなります。自己中心的になりやすく、人によっては無表情のこともあります。
感情が高ぶったり落ち込んだりと激しく動いて、男性自身もなぜこのような感情になるのかよく分からなくなっています。
2.なんでも先延ばし
若いうちは、追い詰められないとなかなか行動に移せません。
よく言う口癖は「できない」「わからない」「どうでもいい」です。
人生の目標を決めるのが苦手でいつも悩んでいます。
ある程度年齢が上がると、これまで怠けた生活をしていたことに後ろめたい思いが出てきます。
行動がガラリと変わって、仕事中毒のような状態になります。
ゆっくりしたいと思っても、何かにせかされているような感じがしてできません。
男性自身も理由がわからずどのようにしたらよいか分からなくなっています。
3.社会とうまく対応できない
友だち関係をつくるのが苦手です。
10代の時は周囲の影響をいつも受けていて、単なる知り合いなのに一方的に仲良くなろうとしたり、次々に新しい友だちのつながりを求めようとします。
男性自身の心の中はいつも孤独で、一人になってしまうと不安でたまりません。
友だちの輪を広げるためには、相手に対してお金や物を使う場合も。反面、プライドは高いので、人に弱みを見せようとしません。
4.無責任体質
「自分がやらなくても、そのうち誰かがしてくれる」というような考え方に走りやすいのが、ピーターパン症候群の特徴的な考え方です。
自分が悪かったことを認めることができず、一言「ごめんなさい」と言えません。
自分は悪くないと他人に責任転嫁してばかりで、現実逃避しやすく、クスリにハマったり、アルコール依存症になったりします。
自分の気持ちが高ぶれば、いろいろなことから解放されて自分が楽になれるという幻想を持ちやすくなりがちです。
5.マザーコンプレックス
自分に干渉してくる母親から離れたいと思っていますが、行動に移そうとする度に罪悪感を感じています。
10代の頃ぐらいまでは、おこずかいや欲しいものをねだる目的で、母親に泣きついたりすることもあります。
ある程度年齢が上がると母親に対する思いは落ち着いてきますが、これまでに自分が母親を心配させたことに対して反省するようになります。
6.父親を絶対的存在と見ている
子供の頃から父親に愛されなかったと思っています。
父親ともっと打ち解けたいと思っていますが「自分が愛してもらえるわけがない」と距離を縮めることができません。
ある程度年齢が上がっても、父親は絶対的存在で越えられない人間だと信じています。
男性自身の父親観が原因となって、会社の上司や目上の人と接する時はぎこちない態度に出てしまうことも。
7.セックスコンプレックス
かなりの割合で、20代始めを童貞で過ごすようです。
男性はそれを恥だと思い、必死に隠そうとします。
初体験が済んでしまうと、自分は性的に優れていることをアピールしたいため、女性と手当たり次第に関係を持つために付き合うようになります。
お気に入りの彼女ができると、他の男に取られる不安からヤキモチ焼きになって干渉しすぎるので、女性の方から離れていきます。
目上の女性・自立した女性がとても苦手で、若く幼い雰囲気の女性が好みです。男尊女卑の考え方を強く持っています。
ピーターパン症候群の男性の取り扱い方
ピーターパン症候群の男性を好きになる女性には2つのタイプがあります。
一方は彼の面倒をみるのは私しかいないと、過保護な母親役を演じてしまうウェンディ・タイプですね。
もう一方はこの男性となら一緒に頑張ってみようかと男性の成長を望むティンカーベル・タイプ。
ウェンディ・タイプの女性は、自分にもともと自信がなく、男性を助けてあげることで満足を得ようとしています。
母親のように優しく甘えさせてくれるので、彼はいい気持ちになってしまうのです。
また彼の中身の幼稚さに気がつくのが遅いので甘やかしすぎてしまいます。
どんなに泥酔して暴れたとしても、彼女は自分を守ってくれる。
アルコール依存症になりやすい人には、ウェンディ・タイプの女性がついていることが多いと言われています。
ティンカーベル・タイプの女性は、ピーターパン症候群の男性の中身の幼さには気づきますが、それも彼の可愛いところだと考えて「大人になってくれるはず」と望んでいます。
しかし、大人になりそうもないなとわかったなら、躊躇せずに別れてしまいます。
ピーターパン症候群を卒業した男性は、ティンカーベル・タイプの女性とずっと一緒にいたいと望むようになります。
彼は彼女との付き合いのなかで、自分よりも豊かで温かな感情にふれて、自分を変えてくれるのはこの人だとを思うからです。
また、ピーターパン症候群の男性が彼や夫の場合、彼女や妻として可能性が高いのはウエンディ・タイプだといわれています。
このことから、女性の方がウェンディ・タイプからティンカーベル・タイプに変身すれば、男性をピーターパン症候群から卒業させやすくなると考えられますね。
しかし、ティンカーベル・タイプになるためには、女性の方が、彼を甘えさせないようにするため、彼との喧嘩があったり不安が強くなるかもしれません。
このことを覚悟した上で、彼の母親役を演じるのをやめ、彼と一緒に話し合い、どうしたら2人がお互いを尊重しながら生活できるかを考えていきましょう。
ピーターパン症候群の特徴・まとめ
今回は「ピーターパン症候群大人になれない男」をご紹介しました。
ピーターパン症候群は人格や性格に問題があるパーソナル障害だと提唱するダン・カイリー博士のことを心理学者でなく、大衆受けの物書き屋だと言う人もいるようです。
つまり「やっぱりピーターパン症候群だ!」大げさに考えてしまうのではなく「へえーこんな考え方もあるのか」ぐらいにしておいた方がいいと思うのです。
彼の日常生活が「子供っぽい行動や言葉」で眼に余るのなら、ピーターパン症候群と考える以外にも、他の何かの精神疾患があるのかもしれないと考えてみた方がいいかもしれません。
もし深刻な症状でお困りでしたら、こんなときこそ一人で悩まず、専門のカウンセラーを尋ねてみることをオススメします。
最後までご覧いただきありがとうございました。