レジリエンスとは困難があっても折れない心、しなやかな心を保った状態のことをいいます。
ストレスの多い現代社会で必要とされる能力で、NHKのクローズアップ現代で紹介されて以来知られるようになってきました。
東日本大震災後に心の痛みで苦しんでいる人たちにも、レジリエンスの考え方で心のケアがされたそうです。
そんなことに興味を持った私が「レジリエンスの鍛え方(著者:久世浩司)」という本のなかで見つけた考え方は、折れない心やレジリエンスを理解するのにとても役立つと思いました。
今回はその考え方についてご紹介していきたいと思います。
レジリエンスの高い人の特徴
折れない心を持つ人たちはこんな特徴を持っています。
レジリエンスの特徴1.ストレスに対する抵抗力
逆境や困難に直面しても折れない心を持ち、すぐに元の状態に戻ることのできる力があります。
竹のようなしなやかさをもった心の状態を持っています。
レジリエンスの特徴2.ストレスをはね返す力
ストレスや予想外のショックといった外側から受ける圧力に対して耐える力があります。
テニスボールのように弾力性があって、外側から圧力がかかっても潰れずに跳ね返してしまう心の打たれ強さがあります。
レジリエンスの特徴3.落ち込んでも立ち直れる力
予想していなかった変化や危機に直面したとき、動揺して抵抗したりせず、新しい事実を受け入れて合理的な考え方で対応する力があります。
道路のせまい亀裂からでも芽を出して生き抜く雑草のような変化に適応できる力があります。
つまりレジリエンスが高いとストレスいっぱいな現代社会で心折れずに生きていけるバイタリティがあるということなんですね。
このレジリエンス特別な人しか持っていない能力なんでしょうか。
レジリエンスは誰でも持っている力
レジリエンスは誰でも持っている力で育てることができるんです。
レジリエンスを鍛えるには7つの技術的な方法があります。
- ネガティブ感情の悪循環から脱出する
- 役に立たない「思い込み」を投げ捨てる
- 「やればできる!」という自身を科学的に身につける
- 自分の「強み」を活かす
- こころの支えとなる「サポーター」をつくる
- 「感動」のポジティブ感情を高める
- 痛い体験から意味を学ぶ
そんな中で、私が今回注目したのが、役に立たない「思い込み」を投げ捨てるということです。
レジリエンス・役に立たない「思い込み」を投げ捨てるとは?
レジリエンスが高く心が折れない人になるには自分の感情をコントロールすることが大切です。
ストレスを受けてマイナス感情になると、考え方に柔軟性がなくなって、判断を間違えたり、行動できなくなってしまうからです。
その感情の元が「思い込み」です。
私たちが心の中に持っている厄介なフィルターなのです。
と言ってもなんのことだかよく分かりませんね。
思い込みとは
思い込みとは、過去にあった体験が原因になって自分の心の中に刷り込まれてしまった価値や信念のことをいいます。
ストレスやトラブルなどで強い刺激があると、こんな辛い体験を二度としたくないと脳が判断します。
さらに脳は無意識に危険を避ける脳内のプログラムを作ってしまうのです。
同じ体験をしそうになると自動的に感情が動いて危険を避ける行動をしてしまうのです。
このしかけは人類が原始の頃、危険な場所や危険な動物に遭遇して、生命が危険にさらされないように発達したプログラムなんですね。
身近な思い込みの例
- 小さい頃に犬に噛まれた経験があって、大人になっても犬を見ると怖いと思ってしまう
- 苦手な食べ物がある。どうしてか理由がわからないが、おそらく子供の頃に嫌な思いをしたのだろう。チーズとトマトが苦手だ。
現代では危険な動物に遭遇するなんてことはなくなりましたが、いまだにこのプログラム=思い込みがあるので私たちの心を苦しめるのです。
元々は私たちの命を守るためのプログラムだったのに皮肉なものですね。
ではレジリエンスを高めて折れない心にするにはどうすればよいでしょうか。
レジリエンスを高めるには自分を客観的に観察すること
心が折れないためには、自分を客観的に観察し冷静になれることです。
冷静になれば、頭も柔軟性が増してきて、ストレスやトラブルに対する対策も考えられるようになるのです。
客観的に観察するなんて難しそうですね。
そこで出てくるのが、今回私が本の中で見つけた考え方です。
こんな見方を持つと分かりやすくなるかもしれません。
レジリエンス・私たちの心の中に飼っている7匹の犬
犬は知らない人に出会ったときや知らない犬がやってきたとき「あっちいけ、こっちにくるな!」という意味でワンワン!とか、キャンキャン!とか吠えますね。
犬の頭の中について私は動物学者でないので知りませんが、攻撃されるかもしれない恐怖感、不安感から吠えているのではないでしょうか。
私たちの感情を湧き起こす思い込みもコレと同じで、何か出来事があったとき、心の中に飼っている犬が、恐怖や不安を感じて吠えていると考えてみてはどうでしょう。
つまり「思い込み犬」がワンワンと吠える=感情が湧き起こったり、行動したりすると考えてみるのです。
では「思い込み犬7匹」のご紹介をしましょう。
レジリエンス・思い込み犬7匹の特徴
思い込み犬1.正義犬
正義犬の特徴
- 何が公正で正しいのかをいつも気にする
- 自分の意見を曲げない
- 「〜すべき」という考え方を持っている
正義犬の口ぐせ
- そんなことはすべきでない。
- それはアンフェアだ、おかしい。
- 私はあんなことをすべきでなかった
正義犬の感情
- 「怒り」「憤慨」「嫉妬」の攻撃的感情を生み出す
思い込み犬2.批判犬
批判犬の特徴
- 自分の判断基準と違うと他人を非難したり批判したりする。
- 頑固で意見を変えない。
- 曖昧な状態に耐えるのが苦手で、物事の判断が極端で白か黒かを決めないと落ち着かない
批判犬の口ぐせ
- これは全部あいつらの責任だ
- バカなことをする人たちだ
- もっと注意深く行動しないといけない
批判犬の感情
- 怒り、不満
思い込み犬3.負け犬
負け犬の特徴
- 自分と他人を比較して自分が足りない部分を気にする
- 他人と比べられるのを怖がり、人前に出るのを嫌う
負け犬の口ぐせ
- 自分は役に立たないダメ人間だ
- 自分は他の人と違ってできない
- こんなことができない自分が情けない
負け犬の感情
- 悲しみ、憂鬱感、羞恥心などのネガティブ感情
思い込み犬4.謝り犬
謝り犬の特徴
- 何か悪いことが起こると、自分のせいで起こったと自分を責める。
謝り犬の口ぐせ
- 失敗したのは私の責任だ
- 人に迷惑をかけたのは私のせいだ
- これじゃ社会人として失格だ
謝り犬の感情
- 罪悪感、羞恥心、自尊心や自己評価を下げる感情
思い込み犬5.心配犬
心配犬の特徴
- 将来のことを心配し、今後も上手く行かないのでなないかと気に病む
- なにかひとつでも上手く行かないと、全て失敗してしまったかのように不安になる
心配犬の口ぐせ
- すべてうまくいかない。
- ひどいことになりそうだ。
- この部下は仕事ができるんだろうか
心配犬の感情
- 不安、怖れなどの活力を下げるネガティブ感情
思い込み犬6.あきらめ犬
あきらめ犬の特徴
- 自分で状況をコントロールできないと信じ込んでいる
- 自分で良い方向には変えられないと思っている
- 根拠のない決めつけをする
- 行動する意欲がすぐ下がってしまう
あきらめ犬の口ぐせ
- それはできない
- うまくいかない
- 自分の手には負えない
あきらめ犬の感情
- 不安、憂鬱感、無力感
思い込み犬7.無関心犬
無関心犬の特徴
- 私は関係ありませんの立場をとっている
- 物事に無関心の態度を示している
- 将来に対して興味を持たない
- 面倒なことを避けようとする
- 自分と周りの人たちの行動する意欲を無くすのが得意
無関心犬の口ぐせ
- まあ、何とかなるさ
- あせっても仕方がない
- 興味が無いからどうでもいいや
無関心犬の感情
- 疲労感
私たちの心の中にいる7匹の思い込み犬ですが、思い当たりませんか。
自分の感情をまるで犬を見るように観察できるなんて面白いですね。
では思い込み犬をどう対処するのか見てみましょう。
思い込み犬に対する3つの対処法
思い込み犬は、ストレスやトラブルに遭遇すると大声で吠えます。
そのときの犬の状態を観察して、犬に聞いてみるのです。
何でそんなに吠えているの?という具合にです。
思い込み犬の声を聞いたなら、本当にそれが現実の出来事の対応として正しいのか判断してみましょう。
思い込みがマイナス感情やネガティブな行動をしてしまうのが問題なのです。
思い込み犬の対処法は次の3つです。
思い込み犬の対処法1.追放する
あまりにも繰り返し吠えて役に立たなくて有害だと思うときは、その思い込み犬を手放してしまいましょう。
つまり自分の思い込みはよくないから、考えても仕方がないと思うことです。
思い込み犬の対処法2.受容する
思い込み犬の言っている内容が確かに納得いくのなら、その通りにしましょう。
思い込み全てが悪いということではありません。
危険を避けるために正しい判断もするのです。
合意できるなと思ったら思い込み犬の通りに従いましょう。
思い込み犬の対処法3.訓練する
思い込み犬の言っていることが完全に正しいと思えないけど、間違ってもいないなあと思うときは、思い込み犬を上手に手なづけて今後も付き合ってみましょう。
思い込み犬を訓練する=躾けるということですね。
おそらくほとんどの対処は訓練することになるでしょう。
つまり出来事の考え方や見方を変えるといったことで思い込み自体を変えていくということです。
自分の感情を冷静になって客観的に見ることができれば、レジリエンスが鍛えられて折れない心を育てられます。
自分が犬を飼っていると想定してみて、自分の感情を客観的に見る訓練をすれば、自分の感情から開放されてもっと自由に物事を考えられるようになるのです。
まとめ・レジリエンス|折れない心を育てるなら思い込み犬を上手に躾けよう
いかがでしたでしょうか。
レジリエンスは、ストレスの多い現代社会では必要な能力です。
さらにレジリエンスは誰でも持っている力で育てることができます。
今回は自分が心の中で犬を飼っていると想定してみることで、自分の感情を客観的に見る訓練をし、物事を冷静に見れるようになる考え方をご紹介してきました。
自分の感情から開放されて自由に物事を考えられるようになれば、人生が明るく豊かに変わってくるでしょう。
最後までご覧いただきましてありがとうございました。
心理学は毎日を生きる知恵・心の波を穏やかに
思い込み犬。
実におもしろい考え方だと思います。
私の思い込み犬はどうだったと思いますか?
実は7種類の犬全部がマイナスでした。
いつもレジリエンスが低くて辛い思いばかりしてきました。
ストレスがあると不安が強くなったり、突発的なことでは上手に対処できなかったりとホント散々でした。
特に仕事上で受けたストレスは大変辛かったですね。
平穏無事に仕事って進まないですものね。
毎日ビクビクしながら仕事していたような気がします。
悪いことが起きませんように・・・て毎日お祈りしていました。
でも「〜でした」なので今はちょっと変わってきたんですよ。
それは、私がメンターに出会ったからです。
メンターの主催する勉強会で心の勉強をしていくと、あんなににぎやかに吠えまくっていた思い込み犬が、静かになってきたのです。
犬が吠えなくなると挑戦する力が出てくるんです。
これってすごい力がありますよ〜。
あなたの思い込み犬を黙らせるのにきっとお役に立てたらうれしいです。